第19回個展『松を育てる』

19th Solo exhibition “Grow pine trees”(JAPAN)

北海道札幌市にあるカフェFAbULOUS(ファビュラス)にて新作8点含む9点を展示いたしました。

会期:
2022年10月1日(土)〜10月31日(月)

会場:
カフェFAbULOUS
(北海道札幌市中央区南1条東2丁目3-1 NKCビル1F)

From Saturday, October 1 to Monday, October 31, 2022
Venue: Cafe FAbULOUS (Sapporo, Hokkaido, JAPAN)


〈会場設置文章〉
 2013 年に制作活動を始めた頃になんとなく狼が描きたいと思って以来、いくつかの命題と組み 合わせて狼の絵を制作してきました。狼が群れで生活することの多い動物であることから、社会の 中で生きる人間を描く際の代替として描いたり、導き手のような存在として描いたこともあります。
実際に、日本では狼はすでに絶滅したと見込まれていて、わたくし自身は野生の狼を実見した ことはなく、ヒグマやキタキツネのように生活のすぐ横に狼がいたことはありません。また、日本の 一部にあるような、狼信仰を持っている訳でもありません。その中でなぜ自分が狼を描くように なったかという理由を追いかけながら描いている現状ですが、今回は、狼が信仰の対象ともなって いる動物であること、それを、少なくとも北海道においては人為的に絶滅させたことを出発点に 制作しています。
何か特定の動物に対して、恐れやありがたさを感じて信仰の対象とすること、その信仰の教えや 儀式などの手立てを組み立てることというのは、どのようなことかと思います。私たちは今でも、 意識的に、あるいは無意識的にそのような信仰を組み立てることがあるでしょうか。もしまた狼が 目の前に姿を現わしたら、過去の人々のように恐れ敬う感情や思考を持てるでしょうか。あるいは、 他の自然物ではどうでしょう。
一方の松は、門松などにも起用されているように、神様の依代ともされている樹木です。門松で 迎えるのは歳神さまですが、もし自分が何かしらの神様を自分の持つ松に迎えるとしたら、どの ような神様であるかということを考えており、最近では狼と松を合わせた作品を制作しています。
2022年10月
高橋弘子

出展作品。2022年制作、M40(652mm × 1000mm)、アクリル、キャンバス

会場風景