第14回個展『彼は誰時(かはたれどき)』


14th solo Exhibition “before dawn”

会期:
2019年5月1日(水)~5月13日(月)

会場:
ギャラリー犬養
(札幌)

from 1 May to 13 May 2019
Venue: Gallery INUKAI
(Sapporo, Hokkaido, JAPAN)


今回の個展『彼は誰時(かはたれどき)』では、2019年2月に開催されたグループ展『New Traditional Arts-道-』に向けて制作した『Who』『柱』『これから帰る』と、その後、関連する作品として『perfect』を制作しました。今回の個展はそれら4点に新作を加えた展示です。
(参考:グループ展『New Traditional Arts -道-』
 当たり前ですけれど、物心ついたころには、私にとって「自分」というものはとっくに存在していて、疑って否定しても消えるものではありません。ですが「自分」の姿の全貌は鏡に映さなくては見えないし、自分の心と自分の脳は同じなのか別物なのか分からないし、自分が思っている自分の特徴と他人から思われている特徴も違うことがありますし、考えていたことと違うことをしてしまったりします。そんな正体の知れないようなもののはずなのに、私は自分のことを「自分」と思っていますし、そして現実的にはそれは疑っても仕方がないことなんだろうなあと思うのです(一方で、物事の「なぜ」を気にしないことで「物知らず」と評されたこともある身としては、目の前にある知らないことの「なぜ」を追いかけても良いのではとも思っています)。
 もし私が生きている状態にあっても自分のことを「自分」と思わなくなってしまったら、私における「自分」は消えられるのではないかと考えると、「自分」というのは、想像上のものなのかもしれないなとも思えます。部分的にでも見えて触れられるものの正体と仕組みがいまひとつ謎だという、あてのないもどかしさと、なんだかよく分からないからもっと見ようとする好奇心のようなものが混ざっていて、ときどきその謎について堂々巡りのように考えてしまいます。
 たぶんこの謎解きは解決することがないんですけれど、私が夢想するのは、もし可能であれば、「いまこうである」という状態を突き抜けて、どこか「次」の状態になれないだろうかということです。いまはまだあたりが暗くてよく見えていなくて、そこにそれがあることを認識すればするほど、自分にはそれが見えていないということに気が付いてしまうような感じですけれど、夜はもう明けてくるのではないか。そんな想像です。もしかしたらその夜明けの先には、「私」はいないのかもしれないですけれど。

exhibition hall

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