第13回個展『おかえりなさい』


13th Solo exhibition “Welcome back”

会期:
2018年8月1日(水)〜8月14日(火)

会場:Bar&Gallery 卍(札幌)

from Aug.1 to Aug.14,2018
Venue: Bar & Gallery MANJI(Sapporo City,Hokkaido,JAPAN)

今回の個展は「橋」がテーマ。橋は別々の端と端を繋ぐもの。橋を渡った向こうは、普段暮らしているところとは別の世界です。日本の昔話でも異界に行って帰ってくる体験をするものはありますけれど、別の土地に行ったり、普段の自分の概念や習慣にないことを体験することも、異界に行く体験に近いものではないかなと思うのです。
 そして、異界を体験して戻ってきた時には、否が応でも異界に行く前の自分とは変わってしまう。日常のちょっとしたことでも、橋を渡って、変わってしまう、その更新のようなことの繰り返しではないかなと(もしかしたら、橋の向こうに行ったきり帰ってこないこともあるかもしれません)。
 意識して何かの橋を渡ろうとすることも、流されて知らず知らずに渡ってしまうこともあることでしょう。どの橋を渡るのか。「橋の向こうにある、あれを目指す」と目的を持って渡るのも大事なことと思うのですが、「向こうに何があるか分からない」という橋を渡るのも良いのではと思うのです。自分の知識や経験の中にない、他の人も知らない、存在しているかどうかも分からないところやもの。そこに行ったらどのような事態になるか予測もつかないところ。
 そのぐらい大きな更新をかける時、更新する対象が自分にせよ、世の中にせよ、それらがどのようになっていくのか。予測できる安心よりも、予測できないもの、現在の知識、常識、概念ではつかむことができないものを、私は探している気がします。その状況になった時に、私自身は耐えられるのか、それは全く分かりません。
 そして、別の世界に行くときに橋を必要としなくなる状態というものがいつか訪れるのではないかと、そんなことを夢想しています。橋とは何でしょう。橋がそこにあるとはどういうことなのでしょうか。
 私の展示や制作においては、いつも疑問が終わりません。

exhibition hall

exhibition hall

“いつか(Someday)”, 2018, M20(727mm×500mm), acrylic, whitewash, paper powder on canvas